Global Athlete PROJECT

小西選手からのメッセージが届きました!


小西選手からのメッセージが届きました!

卓球といえば誰もが思いつくのが中国。世界トップクラスの選手が集まる「中国超級リーグ」に日本から挑戦した小西杏さんは、その後もドイツやスペインなどで活躍してきた。

中国を中心に動く卓球界で戦い抜くために必要な語学力とその勉強法とは?

勉強法は聞く・話すの繰り返し

皆さんは卓球といえば中国を思い浮かぶと思いますが、実はドイツやスペインなど欧州でも盛んです。とはいえ、一番強いのはやはり中国で、中国の国内リーグ(超級リーグ)は世界最高峰のリーグです。
中国人選手が優れているのは指導者が優れているからですが、中国では元選手が指導者に進むので、ほとんどの指導者が優れた技術を持っており、中国国内だけでなく世界中で活躍しています。日本にも多くの中国人指導者が来日していて、私も小学生の頃から中国人コーチに指導してもらっていました。
この時のコーチは日本語を話せた事もあって、中国語を話せるようになりたいとは思いませんでした。ただ、中国に合宿に行った時に同年代の中国人選手と一緒に練習した時には、「話せたらいいな」と漠然と思いました。
そして、実際に学ぼうと強く思うようになったのは高校へ入学してからです。この頃に指導してもらった中国人コーチは細かい部分を日本語で説明するのに苦労して、コーチ自身がとても苛立っているように感じました。このコーチの姿を見て、「私が中国語を話せれば、コーチの言いたい事を理解できて、もっと強くなれるのでは?」と思ったのがきっかけです。

とはいえ、この時から今まで、私は机に向かって参考書や単語帳を開いて勉強した事がありません。私の勉強法はとにかく「会話」です。中国語は発音が難しいのでとにかく発音する事が大事だと思います。しかし、いきなり中国人と会話するのも難しく、中国人同士の会話にも入れません。そこで私が考えたのが、「これは何ですか?」を連発する方法です。身近なものから気づいたことまで、「これは何ですか?」とたくさん質問して、中国人の発音を聞いて、それを使うという事をひたすら繰り返しました。
18歳の頃に中国超級リーグに出場するので2〜3ヶ月ほど中国に滞在しましたが、その時は本当に中国語漬けでした。帰国後も中国人コーチやトレーナーと四六時中、中国語で会話するようにしました。最初はカタコトの中国語だったり、どうしても日本語で話さないと理解できない事もありましたが、できる限り中国語でコミュニケーションを取るように心がけた結果、2年後にはスラスラと会話ができるようになりました。
2年という年月が長いか短いかはわかりませんが、私にとってはこのやり方が一番の近道だったと思いますし、机に向かって勉強していたら続かなかったでしょう。

語学を理解し、卓球の奥深さを学ぶ

中国超級リーグに参戦したり、世界大会で中国人選手と戦って中国人選手の強さは既にわかっていましたが、中国語を話せるようになった事で、日本語だけでは卓球の上達に限界があると改めて感じました。
そのひとつが卓球用語の種類の豊富さです。中国には日本語にはない卓球の技術があります。例えば、相手のボールを返す「ブロック」という技術をひとつとっても、中国ではブロックを説明する単語が複数あるのに対し、日本語では「ブロック」ひとつしかありません。なので、コーチはひとつひとつ説明しなければなりませんし、ダブルス試合でどのブロックをするのか指示を出したくても、「ブロック」としか言いようがありません。ブロックひとつとっても中国の卓球の奥深さと幅広さを感じました。

もうひとつが、卓球に対する思いの強さです。一言でいえば「ハングリー」です。中国では、一家全員を養わなければならない選手もいて、そういう選手は家族全員の人生を背負っています。厳しい争いに勝って中国代表として世界で活躍すれば、一生を保証されるほどの良い待遇を受けられる場合もあります。
それだけ厳しい勝負なので、卓球に対する戦術も非常に深く、日本や他の国の選手であれば1、2個しか瞬時に思い浮かばないのに対し、中国人選手は3、4つ考えています。それだけ考えられれば当然強いはずです。
中国語を理解できた事で、技術だけでなく精神面でも自分の足りない部分を痛感できたので、とても成長できたと思います。

生の言葉に触れるのが一番

2011年はスペインでプレーしましたが、スペイン人のチームメイトや関係者はスペイン語以外はまったく話せませんでした。同じチームに英語がわかるルーマニア人選手がいたので、スペイン語を話せなくても彼女を通じてコミュニケーションを取る事はできましたが、直接やり取りができなければ細かい部分が伝わらなかったり、ニュアンスが変わる事もあるので、中国語と同様にスペイン語も聞く事と話す事をとにかく繰り返して勉強しました。単語を覚えるためにメールもスペイン語で打ちました。スペインは1シーズンだけでしたが、中国語ほどではないにしても、ある程度は話せるようになりました。
これから海外へ挑戦する人は、挑戦する前に準備ができればした方が良いですが、読み書きするよりもできるだけたくさん会話する事をお勧めします。

特に中国語は発音が難しいだけでなく、日本の方言以上に地域によって話す言葉が異なるので、とにかく現地の生の言葉に接する事が一番の近道だと私は思います。