Global Athlete PROJECT

井上選手からのメッセージが届きました!

井上選手からのメッセージが届きました!

アメリカンフットボールの最高峰である「NFL」。井上友綱選手は日本人初のNFL公式戦出場を最難関とも言われるQBで目指す。

チームの中核であるQBというポジションに必要な語学力とその勉強法は?

英語を話せて当たり前、チームを牽引するのがQB

アメリカンフットボールでQBというポジションはチームの中心で、試合中はどのプレーをするかをコーチの指示を聞いたり、自分で瞬時に判断して、チームメイトに伝えます。ちなみに攻撃のプレーは数百にも及び、プレー集とよばれる数百ページにもなる分厚い本をすべて覚えておく必要があります。この本ももちろんすべて英語書かれていますので、英語を読む、聞く、話すがしっかりできなければなりません。
ですが、これはあくまでも前提に過ぎません。ただ読む、聞く、話すができれば良いわけではなく、QBはチームの中心で、負けていれば責任も大きいです。

そのため、リーダーシップを発揮してチームを牽引する役割も求められ、試合に負けているときはチームメイトが鼓舞する言葉をかけるのもQBの仕事のひとつです。
このような仕事もあるので、QBはチームメイトから認られる存在でなければなれません。そのためには、プレーはもちろん、メンタルやコミュニケーションなども磨く必要があります。
QB以外のポジションは技術やフィジカルが重視されますが、QBに求められる資質は、英語50%、技術25%、リーダーシップ25%だと思います。

人にあわせたコミュニケーションが必要

僕は日本の大学を卒業してからアメリカに行ったのですが、本格的に勉強を始めたのは大学を卒業してからでした。契約を勝ち取るにはまずコーチに自分が英語をできると認められないといけないので、とにかく英語に触れる機会を増やしました。
チームメイトやコーチがハドル(次のプレーを始める前に選手が集まる事)の中での会話を聞いたり、動画サイトで選手たちの会話を見たり、その他にもプレー集を読んで発音して勉強しました。

そして、わからない事があれば積極的にチームメイトやコーチに質問しました。特にコーチにはプレーの確認のために質問したりして、英語やプレーを理解すると同時に、自分が英語をわかっている事を力強く発信しました。
次にQBの役割でもあるチームの中心になるために、相手の事を考えて会話する事も意識しました。なかでも取り組んだのがスラングです。アメリカンフットボールは黒人選手が多いので、彼らが頻繁に使うスラングを使うようにしました。僕は関西出身なので関西弁同士の方が会話が弾むように、同じ言葉を話せば親近感が沸いてコミュニケーションも深まるんじゃないかと思ったからです。
あと、日本人だと行間を読んでくれるので、すべてを言わなくても発言者の意図を汲み取る事はありますが、外国人はそうではありません。「わかってくれるだろう」は通用しません。日本人は文法や単語を間違えるのを恐れる人も多いので、会話に消極的だったり少な目になったりしがちですが、きちんとすべてを伝えるようにしました。
このような事を続けた結果、スラングも自然に出てくるようになりましたし、英語で理解して英語で考えて英語で話せるようになりました。そして、昨年のトライアウトでは自然に会話できた事でコーチに僕の英語力を認めてもらえました。

体験する事で外国語の重要性を理解

僕は大学を卒業してから渡米前に英語の勉強を始めたので、「もっと早くやっておけば良かった、高校生の頃からしっかり勉強しておけば良かった」と後悔しました。ですが、高校時代に「英語を勉強すべき」と言われたとしても、本当に必要と思わなければ、なかなか勉強しなかったと思います。これは僕だけでなく他の人も多いのではないでしょうか?
そういった意味で、機会があれば若いうちに1度海外に行って、外国語の重要さを体験するのが良いと思います。
経験すれば、その後は自発的に勉強するはずです。

そして、もうひとつ大切なのは継続です。僕は昨年9月に帰国して今は再度チャレンジする準備期間です。英語に関してはアメリカ人の友達と話したりメールをしていますが、積極的に英語を使っていても英語力は衰えてしまいます。だから、日本にいる間は外国語は自分が思っている以上に積極的にたくさん使わないと、身につきにくい思います。
だから、外国語と容易に接する機会をたくさん持つ事をお勧めします。