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村田選手からのメッセージが届きました!


村田選手からのメッセージが届きました!

「まぁ、どうにかなるやろう」。読売ジャイアンツ(巨人)を退団後にアメリカ行きを決断した村田透は、言葉の壁をそう捉えていた。マウンドに立てば「どうにかなるやろう」と「変な自信があった」のだ。
実際に現地へ行くと、グラウンド外での問題にパフォーマンスの邪魔をされた。知っている英単語の発音が通じない会話能力では、キャッチャーから相手打者の特徴すら聞けないからだ。

「自分ではわからないんですよ。何で結果が出ないのか」。それでも村田はマウンドに立ち続けた。向こうの暮らしに慣れた頃には、素直に「目標はメジャー」と口にできるようになった。

複数形やったら単語の後ろに“s”が付く」って習いますけど、
向こうではその「複数形」って言葉すら英語

巨人を辞めてアメリカ行きが決まってから、何ヶ月間か、時間はありました。
でも、そこではシーズンに向けたトレーニングをしていて、特に英語の勉強をしていませんでした。
変な自信があったんです。しゃべれなくても、『まぁ、どうにかなるやろう』と。実際に行ったらまぁ、大変で。まず、こっちの言うことがまったく通じないんです。アップルも、ウォーターも、「?」と聞き返されて終わり。学校の英語教育に沿ってカタカナの感じで覚えた発音が、まったく意味をなさなかったですね。
もちろん、コーチの言っていることもわからない。最初の2週間は英語のしゃべれる日本人選手がいたんですけど、その子がおらんようになってからは『意味わからん!』の連続です。

最初は、廊下で他の選手とすれ違う時の挨拶でさえ戸惑いました。「How are you?」って聞かれても、「Good!」という答えがすぐに出てこない。こっちがアワアワしとるうちに向こうが通り過ぎて行く…。逆に、何か別のことを言っているのを「How are you?」だと思って「Good!」って返事することもありました。
キャンプ中、チームは英語教室を開いてくれていたんです。スペイン語圏出身者、台湾人と、色んな国の選手が来とったから。僕はアジア人向けのクラスに週に2回、参加しました。ただ、日本人やったら文法の授業で「複数形やったら単語の後ろにs が付く」って習いますけど、向こうではその「複数形」って言葉すら英語。まぁ、限界がありますよね。シーズン中はロゼッタストーンをやれるだけやって、あとは他の仲間とたくさん話すようにしていました。

キャッチャーとマウンドで初対面、部屋が寒い…おかげでタフになりました。

英語がわかってきたと感じたのは、1シーズン目の終わり頃。3月に行って、終盤は9月ごろだから、6ヶ月くらい経っていましたね。ま、それでも実際は『ようわからん』ということが多かったんですけど。区別の難しい「r」と「l」の発音が混ざった「really」がうまく言えず、皆からネタにされました。「really って言うてみ」って。
プレー中、言葉が必要になってくるのはキャッチャーとのコミュニケーションですね。「この場面ではどんな球を投げたい?」と聞かれたり、逆に「相手チームのあのバッターはどんな特徴か」を教えてもらったり。慣れないリーグでそれができなかったら、抑えるのも難しくなりますね。あと、アメリカでは選手の入れ替わりも激しくて、シーズン中でも一緒にやるキャッチャーがころころ変わります。また、アメリカでは日本と違って、ブルペンでのピッチャー練習にキャッチャーが球を受けにくることもない。バッテリーが試合のマウンドで初対面、ってことも多いんですよ。だから、普段からコミュニケーション能力をつけとかないと大変。もう、「お前に任せる」と言うしかなくなる。今年、AAから3Aに昇格しました。アピールにはもって来いの場だったんですが、そこでも新しいキャッチャーとバッテリーを組みました。2年目やったんで、言葉は全体の半分くらいはわかりましたが、結局、「任せる」って感じになりました。
他にアメリカで困ったことといえば、住環境ですかね。ルームメイトに「クーラーつけていいか」と聞かれて、「どっちでもいいよ」と言ってしまったら最後。向こうの選手って、ありえへんくらい冷房をかけるんです。

シーズン中に何人かでルームシェアしているアパートでは、電気代を心配してかそれほどでもない。ただ、遠征でホテルに行ったら、ツマミを「最強」に。部屋をごっつ寒くして、毛布でくるまる、と。あいつらはそれで育ってきたんでしょうけど、「温度調節したらええやん」って思いません?意味わからんでしょ。
ただ、そういう生活を続けるうちにタフになりました。日本でプレーしてた時に気にしていた細かいことが、あまり気にならなくなったんです。そういうメンタルの変化って、プレーにも繋がるんじゃないですかね。余裕ができて不安が減ると、自然と成績も安定してきます。僕も、2年目の最後のほうは、そんな感じでした。

日本にいた頃より、明らかに強くなった。目標はメジャー。

逆に、1年目の最初の方で相手を抑えられなかったことも、メンタル面が要因なんでしょうね。特に、言葉がわからんことからくる不安というか…。その時、自分ではわからないんですよ。何で結果が出ていないのか。でも、向こうに慣れるたびに結果が出ることを考えると、やっぱり、メンタル面が大きいんですね。

今後の目標は、やっぱりメジャーリーグですね。何万人もの大歓声のなか、アメリカのスーパースターたちと試合をしたいです。正直、育ててもらえる年齢でもない。今年、結果を出したいです。