Global Athlete PROJECT

川島選手からのメッセージが届きました!


川島選手からのメッセージが届きました!

2010年に南アフリカで開催されたサッカーのW杯、そして翌年のアジアカップでは、日本代表に選出され、正ゴールキーパーとして活躍した川島永嗣選手。2010 年 7 月には川崎フロンターレからベルギーのリールセSKに移籍し、異国の地での単身生活をスタートさせた。

2部リーグから昇格したばかりのチームで孤軍奮闘し、1部残留に貢献。シーズン終了後には、サポーターが選ぶチームの MVP にも選ばれた。世界を舞台に活躍する川島選手が考えるアスリートに求められる語学力とは。

英語、イタリア語、ポルトガル語、オランダ語…
語学堪能な日本を代表するゴールキーパー

僕が所属するリールセSKには、世界各国から選手が集まってきていることもあって、チーム内での会話は、ベルギーの公用語のオランダ語ではなく英語が使われていました。シーズン中に監督が2度も変わり、ベルギー人やノルウェー人の監督がチームを指揮したのですが、戦術の説明や選手への指示もずっと英語でした。ベルギー人の選手は、ここはベルギーなのに、なぜ英語で話さないといけないのかと嘆いていたくらいです。
僕は語学の勉強をするのが好きだったので、日本にいるときから、

英語やイタリア語、スペイン語、ポルトガル語、それからフランス語などの勉強をしていました。だからベルギーに行っても、そんなに言葉で苦労することはないだろうと思っていました。もちろん、どの言葉も多少会話ができる程度ではありますが、以前イタリアにサッカー留学したときに、あちらの選手が試合中に “ マークにつけ! ” などと、かなりシンプルに指示しているのを見ていました。そんな経験もあって、楽観的に考えていました 。

試合中に英語でチームメイトに考えを瞬時に伝えたい。
語学力をアップさせる必要性を痛感。

でも今回、海外のチームに移籍して、実際に外国人の中でプレーするようになって、語学力の必要性を痛感させられました。やっぱり “ ゲームの状況を考えて、もっとこういうプレーをしてほしい ” とか、チームメイトに対して自分が思っていることや、感じていることを試合中に、伝えなければいけないときがあります。もし日常生活だったらそんなときでも、頭の中で一度、日本語を英語に置き換えながら、時間をかけて相手に思いを伝えることもできます。でも、試合中はそんなことをしている暇はありません。思ったらパッと言わないといけないんです。英語を瞬時に話せたら、もっとプレーしやすくなるのにと歯がゆい思いをすることがありました。

例えば僕がゴールキーパーではなく、フォールドのプレイヤーだったとしたら、また違った感想を持つのかもしれません。言葉がしゃべれなくても、攻撃の選手は点を決めてしまえば、良い選手だと評価が上がります。でもゴールキーパーはいくらシュートを止めたとしても、1点決められてしまったら、評価されません。しかも、1試合良いプレーをしても、次の試合が悪かったら意味がありません。常に安定したプレーが求められます。ゴールキーパーは信頼を得るまでに、とても時間がかかるポジションです。だからチームメイトと積極的に会話をしたり、チームがどういうサッカーをやろうとしているのか、きちんと理解する必要がありました。

自分から話しかけることで、相手に思いを。
時間をかけて信頼を築く、異文化でのコミュニケーション。

チームには僕以外にも、ゴールキーパーがいたのですが、ひとりはすでに2年ほど所属していて、チームを1部に昇格させた実績もあったので、周りから信頼されているのが、とてもよく分かりました。でも、僕は加入したての “ お客さん ” で、イチから信頼を築いていく必要があったので、

できるだけ自分から話しかけるようにしたり、プレーで示すよう心掛けました。ただ、シーズン開幕直後は連敗続きで、チームの状況があまりよくありませんでした。そんな中でどうやってチームメイトに話しかければ良いのか、悩みました。勝てない期間は長く続いたのですが、普段の生活でも自分から言葉に出して思いを伝えるようにしていたら、自分に対する態度も変わり、徐々にチームの状況も良くなっていきました。
最初は “ お前、本当に分かっているのか? ” とか “ 意味が通じてないだろう ” と突っ込まれたりもしたのですが、そんなときは笑って誤魔化したり、たとえ間違った言葉を使っていたとしても、気にせず話すようにしていました。すると、気付いたらみんな僕が言うことを、ちゃんと聞いてくれるようになっていました。言葉が通じない相手に、思いを伝えたいなら、自分から積極的にしゃべらないと難しいと思いますね。

とっさの英語に答えられるよう、
自分の考えを英語で話すトレーニングを。

僕にはとっさに外国語で返答を求められるシーンが多くあります。だから例えば車で移動するときなどに、試合後のインタビューをイメージして、記者からの質問に英語で答えるシミュレーションをしています。模範解答を用意して、それを口に出して繰り返し話すことで、次第に考えなくてもフレーズが自然と出てくるようになってきます。英語で日記をつけることで、自分の考えを英語で表現する訓練もしています。また、英会話ソフトや英語アプリなどを使うこともありますね。テキストを使って、文字から覚えよう思ってもなかなか身につかないことも多く、声に出して使ってみることが外国語を上達させるコツだと思っています。
いま必要に迫られて、外国語を勉強していますが、最初は “ 外国語が話せたら、カッコイイな ” とか、そんな単純な動機で勉強をはじめました。

より真剣に外国語の習得に打ち込むようになったのは、プロ1年目のサッカー留学での体験がきっかけです。イタリアに渡り、イタリア人の代理人に連れられて、セリエAのチームの練習に参加しました。でも、僕はほとんどイタリア語が話せなかったため、とにかく孤独を感じ、練習試合に出てもまったく良いプレーができませんでした。気持ちもどんどんネガティブになって、初日の練習が終わると、日本に帰されるだろうと思い込んで、勝手に荷物をまとめて帰国する準備をしていました。チームメイトともっと仲良くなりたかったし、こんな孤独感は二度と味わいたくないと、そのとき実感しました。だから日本に帰ったらすぐイタリア語の勉強をはじめました。

プレーで自分を表現する強い気持ち。
そして、思いを伝える語学力が成功のカギ。

イタリア語以外にも、ポルトガル語やフランス語を勉強したのは、飽きないようにするためです。イタリア語に行き詰まったら、気分転換のために、他の言葉の勉強に切り替えるんです。でも、いろんな言語を勉強していると、発音や文法に共通点があることに気がつくことがあって、急に理解できるようになるというメリットもありますね。語学の勉強ってなかなか上達しないし、挫折してしまう人も多いと思います。僕も苦労しました。でも、いまになって思うのですが、若い頃に勉強した文法や単語がふいに出て来るんです。だから分からないから止めてしまうのではなく、語学の勉強はとにかく続けることが大事だと思います。
語学はあくまで思いを伝えるためのツールなので、何を伝えるのか、しっかり自分の考えを持っていることが一番大切です。それに海外でプレーする場合、言葉の壁を越えて、 “ プレーで自分が見せていく ” 強い気持ちがなければ、なかなか成功できません。ただ、異文化の中でプレーすることは、サッカーというスポーツの体験に止まらず、

人生にとって貴重な経験になると思っています。失敗を恐れず、自分から積極的に外国語でコミュニケーションをとることで、より豊かな人生経験を積んでいきたいですね。

現地の言葉は常に勉強して、今後はビジネス英語にも挑戦したい。

この1年間で英語は確実にスキルアップしたと思いますが、もっともっと上達したいと思っています。スポーツの世界にいると、いわゆるビジネス英語と触れ合う機会があまりありません。だから、ビジネス英語を学んだり、ニュースや新聞を見てもすぐ理解できるぐらいになりたいですね。今後、どこの国でプレーするかわかりませんが、どこの国に行っても、必ずそこの国の言葉は勉強したいと思っています。

せっかくなら、世界中の人と話してみたいじゃないですか。スペイン語が話せると中南米でも通じるし、フランス語が話せるとアフリカでも使えます。アジアの言語をもう一言語でも覚えて、世界中色々な地域の人と交流できるようになれると理想的ですね。