Global Athlete PROJECT

神野氏からのメッセージが届きました!


神野氏からのメッセージが届きました!

全日本選手権で総合優勝5連覇を達成するなど長年にわたり日本女子ショートトラック界をリードしてきた神野由佳さん。現役時代は英語ができないために苦労しており、その経験を後輩にさせないために、引退後にカナダへ留学して英語とショートトラックの両方を勉強した。

現在は若手選手を指導する神野さんは、選手たちに語学の大切さをどう説いているのか?

語学が競技に影響した現役時代

ショートトラックという競技はレースに勝つと次のレースに進む形式なため、1日に何回もレースがあります。また、毎回次のレースに進める人数もレース毎に異なります。大会では自分のレースの開始時刻や、上位何人までが次のレースに進出できるかなどの情報が会場内に随時アナウンスされるのですが、海外でのレースはすべて英語ですので、私達はこの英語のアナウンスを聞き取って次のレースの準備をしなければなりません。
しかし、私が現役の頃は日本チームに英語をしっかり理解できる人がいなかったため、一緒にレースに出る外国人選手の行動を見て、その選手たちが準備し始めたら私たちも準備する事が多く、計画的に準備する事が難しかったです。また、次のレースに進める人数を勘違いして、3位でも次のレースに進めると思いレースの展開を考えて臨んで3位に入ったけれども、実は次のレースに進めるのは2位までだったため敗退したという選手もいました。
私は現役最後の2年間、毎年夏にカナダへ短期留学をして英語の勉強をしたおかげで、それからは大会のアナウンスも聞き取れるようになり、レースも余裕を持って臨めるようになりました。英語を理解できるようになって、アナウンスを聞き取れない頃はレースに余裕を持って臨めなかったり、レースが終わって休憩しても本当の意味でリラックスできていなかったのだと感じました。だから、もっと若い頃から英語を勉強しておけば良かったと痛感しましたね。


英語がわからないという点で損した事は他にもありました。レース直前に他の国の選手とコーチは、私たち日本人が英語を理解できないとわかっていたのか、私たちがいる前で英語でレースの展開などの会話をする事が当たり前のようにありました。もし、英語を理解できたら外国人選手の指示を聞き取って、それに対応したレース展開ができて、もっと良い成績が取れたかもしれません。
レースだけでなくトレーニングでも語学の必要性を感じました。練習目的で海外に留学するケースもありますが、外国人選手と知り合っていないと、どのコーチがどんな事を教えているのかなどの情報を得ることはできません。練習内容を知らないと怪我したり調子を落とす可能性があるのでリスクがあります。そうなると、留学できるのはオリンピック後くらいしかありませんでした。

語学が人を成長させる

私はカナダに短期留学をする前までは、国際大会に出場しても、英語ができない事を理由に外国人選手とあまり会話をしようとはしませんでした。しかし、留学後は英語が完璧でなくても外国人選手とたくさん会話をするようになっていました。自分でも積極的になったと感じてはいましたが、一緒に国際大会に出場した日本人選手にも、「神野さんって積極的に話すようになったね」と言われました。
今は外国人とコミュニケーションをとるのに単語や文法を間違えても、恥ずかしくないと自信を持って言えますが、以前の私や多くの日本人はそうではなく、「間違えたら恥ずかしい」とか「(言葉が)伝わらなかったらどうしよう?」とネガティブな考えが出てきていると思います。

以前、ジュニアの選手たちを連れて海外遠征に行った時も、選手たちは英語が話せないから恥しがって現地の人たちに挨拶すらできませんでした。
しかし、選手たちが勇気を出して現地の人に挨拶をしたら、返事が返ってきた事で選手たちは「(英語が)通じた!」と喜んでいました。
こういった経験から最近では「もっと海外で英語を話せるようになりたい」、「世界ジュニアの大会でインタビューを英語で答えられるようになりたい」と語学の習得に意欲的になっています。そして、海外に行くためには練習して良い成績を残さなければならないので、練習もそれまで以上に熱心に取り組んでいます。
私も英語が理解できるようになってからはレース会場で多くの外国人と挨拶や会話を自分から積極的にするようになりましたし、逆に外国人選手からも話しかけられるようになりました。私自身だけでなく、ジュニアの選手たちも言葉を話せるようになるだけで、見違えるように積極的になっているので、語学は単に「言葉を理解する」というだけでなく、性格やスポーツの成績にも影響するという事を経験しました。

若い頃から学んで余計な回り道をしない

会話ができる事でレースに取り組みやすかったり、性格にも良い影響がでてくる事を経験しましたが、会話ができれば外国人からアドバイスを聞けますし、インターネットなどから世界中の情報をいち早く得られるので、技術の成長が早くなると思います。
ちなみに、ショートトラックは韓国が世界でも非常に強く、多くの韓国人コーチが世界中で活躍しています。日本にも韓国人コーチが来日して指導する事はよくありますが、もし韓国語ができれば、通訳が省略した内容も理解できるだけでなく、自分が聞きたいことを直接コーチに聞くことができ、他の選手よりも早く上達でき、向上心も強くなるでしょう。

私は指導者ですが、韓国人コーチの指導内容はやはり気になります。だから、英語だけでなく韓国語も勉強して、選手の上達にもっと貢献できるようになりたいです。
世界で活躍したいと考えている選手はもちろん、スポーツを上手くなりたいと思っている選手、そして私たちのような指導者にも語学は欠かせません。