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【サッカー英語コラム】[サッカーニュースを読んでみよう ~シンジ・ダービー ドルトムント編~]

不振にあえいでいたドルトムントがようやくリーグ戦2連勝、調子が上向いてきた感じです。
2月13日に行われたドルトムント対マインツの記事の一部をネタにしたいと思います。
日本では香川真司、岡崎慎司が揃って出場したために「シンジ・ダービー」と話題になった試合でした。

参考記事
http://www.espnfc.com/german-bundesliga/match/396810/borussia-dortmund-mainz/report
取り上げるのはニュースの結論部分、最後の段落です。

Dortmund’s fans were able to breathe a sigh of relief, but conceding two goals at home and gaining the upper hand only in the final 20 minutes shows there is still a long way to go before Dortmund can count themselves safe, although it was at least another step in the right direction.

ドルトムントのファンはほっと一息つくことができただろう。しかしホームで2失点し、リードした時間帯は最後の20分間だけだったという事実は、ドルトムントが本当の意味で安心できるにはまだ長い道のりがあるということを示している。とはいえ、少なくとも正しい方向へ一歩進んだといえる。

解説:breathe a sigh of reliefは決まりきった言い方です。
breatheが「呼吸する、息をする」という動詞、sighが「ため息」なのでこの2つで「息をはく」という意味になります。
reliefが「安心」なので、直訳すると「安心の息をはく」ですね。

but以下の文章の構造が少し難しいです。

conceding two goals at home and gaining the upper hand only in the final 20 minute

までを主語と考えてください。
そしてshowsが動詞、目的節がthere is still a long way to go before Dortmund can count themselves safe

つまり、「ホームで2失点し、リードしていた時間帯は最後の20分間だけだったという事実は」(主語)
「~を示している」(動詞)
「ドルトムントが本当の意味で安心できるにはまだ長い道のりがあるということ」(目的節)
となります。

concede ~ は「~を相手に譲る、認める」といった意味です。
goalを相手に譲る、つまり「ゴールを許す」ですね。
gain the upper handは直訳すると「上手を取る、得る」。
英語圏でも「上」はやはり有利な状況を示唆します。
その状況において上の立場に立つということですから、サッカーの文脈では「リードしている」という意味になります。

Dortmund can count themselves safecountの意味を多層的に理解していないと訳せません。
意味はもちろん「数える」なのですが、「~と見なす」という意味にもなります。
わざわざ数えるということは、それが重要な事である、という風に考えると分かるでしょうか。
themselves はドルトムントを指しています。
つまり、「ドルトムントが彼ら自身の事を安全だと考える」ということです。
安全というのは、ここでは「ブンデス1部残留」も指していますし、「チームが健全な状態になる」ということも指していると思います。

[プロフィール]
清水憲二。サッカー翻訳者。京都在住。イングランドプレミアリーグ、ドイツブンデスリーガ、イタリアセリエAなどの欧州主要リーグのプレビュー/ハイライト番組他、チャンピオンズリーグやワールドカップ、EUROの関連番組、現男子日本代表やなでしこジャパンの選手をフィーチャーしたサッカー系ドキュメンタリー番組なども手がける。その他にも、サッカーゲームやプレミアリーグサッカーチームのウェブサイトなど、メディアを問わず様々なサッカー関連の翻訳や執筆にこれまで従事。最新の仕事はリオネル・メッシのドキュメンタリー映画「MESSI」の字幕翻訳。

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