アーミー
暖かい。
ラトビアにも春が来ました。
澄んだ空気に青空に太陽。冬から続いた曇天も晴れて、やっと空の天井が見えたような気持ち良さ。花粉症がないのもベリグーです。
さて、今月はカップ戦が入ってくるので7試合ぐらいあって忙しいんですね。試合から試合へ。一喜一憂している時間はあまりありません。
てなわけで早速、この前の水曜日にカップ戦の準々決勝がありました。2部の相手だったんですが、3-2でしっかり、いやギリギリ勝ちました。俺は前半だけで交代でしたが、チームが勝てればそれで良し。このムードを継続して次の試合に繋げられるように、出来ることを全てやれたらと思います。
さてさて。
ラトビアってバルト三国と呼ばれる3つの小国のうちの1つなんですけど、他の2つがどこだか分かりますか?
リビア?ボリビア?スロバキア?
正解はエストニアとリトアニアです。このへんの国旗や首都や言語を判別できる人、日本にはまぁまぁいないと思うんですけど、今日はその中のエストニアのお話。
今のチームには1人エストニア人がいて、移籍してきた時期も一緒、練習の行き帰りも一緒、練習中の2人組も一緒って感じで仲良くやってるんですけど
彼にはもうすぐ兵役が待っています。
エストニア人の男性には全員兵役が課せられていて、19歳から28歳の間に基本的には11ヶ月は行かないといけません。
しかも最初の3カ月は外出も禁止で、それ以降も月に給与としてもらえる金額は100ユーロ。もちろん他の仕事を持ちながらやることは出来ません。
家庭を持った人も、ローンを組んだ人も、会社がある人も、何かが兵役より優先されることはありません。本当に特別な事情がない限り。
ただ、彼の場合はA代表にも選ばれている選手なので、スポーツでの貢献などを踏まえて、その「特別な事情」に該当する可能性があるんですが、、、実際に国がサッカー選手に認められている「免除枠」は2つのみらしく。望みはかなり薄いようです。
それも完全な免除ではなく3カ月に「軽減」になることが多く、エストニア国内でプレーする選手に限定されることがほとんど。もちろんエストニア国内では兵役ありきで社会のルールがあると思うので、融通や理解があるとは思うんですが。
国外で仕事に就いている人にとってはとても厳しく、(どの仕事もそうだと思いますが)特にサッカー選手は3カ月休んで即復職できるほど甘い世界ではないし、まして11カ月となれば、ほぼ職を奪われるのと同義です。
今のチームも兵役を控えたうえで契約を延長してくれるかは分かりません。
もちろん裁判を起こしたり、病院で診断書を書いてもらったり、膨大な書類を提出したりと、避けるための色々な手段は一応あるみたいですが、正直それを国相手にやる体力は一個人にはないと。
なので、今のところ、彼は今年の冬に兵役に向かうようです。決まりではないけれど。
俺は生まれたのが日本で、彼はエストニア、ただそれだけの違いのような気もしますが、それが国境の意味で、それが国家の個性と言えばそれまでで。彼は彼の国を愛しているし、俺は彼の国を批判する気にはなれないですが。
叶えた夢を無条件に1度手放さなければならないというのは辛いだろうなと思います。
そしてつまり、何を思ったかというと。
俺、ちゃんと選挙に行こう。
たぶん平成を生きてきただけじゃ「選挙で何かが変わる」って体感で理解するの難しいと思うんだけども。
いまある平和を消費するだけじゃなくて、ちゃんと繋いでいかないと。
隣で練習してるチームメイトを見て、そんなことを思いました。
はい、ということで、明日は試合です。
サッカーん楽しんで、思い切りプレーしてきます。
おやすみなさい。