Global Athlete PROJECT

郵便

海外で生活していて一番嬉しい瞬間ってなんだか分かりますか。

異文化に触れたとき。

友達ができたとき。

仕事で認められたとき。

違います。全部違います。

海外で生活していて一番嬉しいとき、

それは日本からの荷物を受け取ったときです。

ということで、日本から郵便が届きました。

実は3週前にも大きな荷物を受け取っていて、なんていうんですかね、ラトビア語ロシア語のパケットに混ざって「ゆうパック」の段ボールを見つけたときの幸福感、もうそれだけでご飯3杯いける気がするんですけど、畳み掛けるように中にも日本の食材やふりかけ入ってる訳じゃないですか、もう何杯ご飯食わすねんこのこのぉ〜!って内股でクネクネ揺れたくなる気持ち、誰か分かりますか。

とにかく嬉しいってことが伝わればいいです。

まぁでも、ここはラトビアでした。何事も簡単にはいきません。

練習終わって家でご飯食べてたら、配達員さんから電話が掛かってきて

「あと2分で着きます」

って言われたんですね。

2分。すごく早いですよね。すごくすぐ着く。食事とか一旦全部中断。

不良がカツアゲでクラスメート呼び出す時でさえもう少し時間に余裕見ると思うんですけど、まぁいいです。運んでくれてありがとう。俺の家5階だし、重いものを上まで運んでくれるんだから細かいことに文句を言うのはやめ


「下まで降りてきてください」

「荷物が大きいから下まで降りてきてください」

OK、いいです、落ち着かないと。これに疑問を持つ俺がおかしいのかもしれない。そもそも日本の配達クオリティが高過ぎるだけだし、おもてなしの国で生まれ育った俺への洗礼かもしれない。

郷に入れば郷に従え。穏やかな気持ちでいきましょう。

「OK、いくらですか?」

「19ユーロです」

「わかりました」

そんなやり取りをして電話を切ったと思うんですけど、そのあとすぐ下に降りたらもう配達員さんいました。お前絶対着いてから電話しただろ。

でも、基本はやっぱり嬉しいわけです。遠く日本から自分宛に荷物が届いてるわけで。細かいことは気にならないような、春にふさわしいような心持ちになってるんですよ。

立ってた配達員さんも小太りのおじさんでしたけど、わりとニコニコしながら英語でやり取りしてくれて「なんだ良い人じゃん」みたいな。

なんでもかんでも斜に構えて、俺も良くないな〜って反省したりもして。

じゃあこれにサインしてください、これに個人コード書いてください、みたいな紙のやり取りをいくつかしたあと、支払いの流れになって

「19ユーロです」

「あ、じゃあ20ユーロで」

「はい、どーも、それじゃ。」

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ドア、バタン!

車、ブィーン!

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いやお釣りは?

下まで降りたのも、呼び出しが急なのも、この際なんでも良いんですけど、

これって厳密に言ったら持ち逃げじゃないんですか?車ブィーンの術じゃない?

チップとしたって、支払う側の判断ありきじゃないん?受け取るなり車ブィーンはダメじゃない?

段ボール抱えてとりあえず笑っちゃったんですけど。

なんですかねこの狐に包まれた感は。あいつキツネじゃなくてタヌキだったけど。

「たった1ユーロでつべこべ言うな!」っていう中野ケチなんじゃないか派の皆さんに、この国で1ユーロで何が出来るか発表しますけど

毎日食べるお米を、細長いタイ米から寿司用の日本米にグレードアップ出来ます。

これ死活問題ですから。

あいつのせいで何日かタイ米ですから。パエリヤにしたら美味しいねってやかましいわ。

ってか5階まで運ぶのめっちゃ重かったわ!なんやあのタヌキ!

送ってもらった本を読んで寝ます。

おやすみなさい。