【サッカー英語コラム】[日本代表の活躍を英語で読んでみよう(2)]
前回に引き続き、日本代表がグループリーグ3連勝して予選首位通過を決めたことを報じる記事を取り上げます。
The Japanese constantly stretched the Jordan defence, and inevitably broke through in the 24th minute when Honda coolly slotted home a rebound at the near post after a powerful shot by Shinji Okazaki was parried by Amer Shafi.
ヨルダンの守備網を何度も切り崩していた日本が24分、やはり先制する。岡崎の放った強烈なシュートをShafiが弾いたところを、本田がニアポストへ冷静に押し込んだ。
解説:上記の日本語はニュース記事っぽくするためにかなり「意訳」しています。
細かく説明しますね。
stretch がここでは少し厄介な単語です。
サッカーの文脈で defence を stretch というと、「守備を間延びさせる」という意味かなと私も最初は思ったのですが、stretch には「限界まで伸ばす」、つまり「(相手を)能力ギリギリまで動かす、働かす」という意味もあるんです。
この試合、ヨルダンは引いてのカウンター狙いだったので決して「間延び」はしていませんでした。
ここは「日本がヨルダン守備陣を翻弄していた、振り回していた」ぐらいのニュアンスだと思います。
ちょっとでも「あれ?」と思ったら、知っている単語でも辞書を引くのが、基本中の基本です。
inevitably は「避けられない、必然的に」というニュアンスの副詞です。
攻めこんでいた日本が「試合の流れそのままに」先制したというニュアンスをこの単語で出しています。
私は「やはり」と訳しました。
break through は「ブレイクスルー」というカタカナ語になっているので、だいたい分かるでしょう。
「突破する」という意味で、サッカーでは「均衡を破る」、「こじ開ける」なんて訳され方もしますね。
slot home はサッカー独特の表現です(もしかしたら他の球技でも使うかもしれませんが)。
意味は単純に「決める」と理解すればいいでしょう。ニュアンスとしては「気持よくネットを揺らした」。
rebound を「リバウンド」と言ってしまうと、日本ではバスケっぽくなりますね。
「こぼれ球」とすれば、とたんにサッカーっぽくなります。
parry は見慣れない単語かと思いますが、「受け流す、そらす」という意味です。
サッカーの文脈では、「はじく、パンチングする」などがハマるでしょう。
限られたスペースで解説できるのは文章全体のほんの一部です。
ぜひリンク先で記事の全文を読んでみてください。
特にどちらかのチームに肩入れすることなく、試合の流れを客観的に綴っています。
それでは。
[プロフィール]
清水憲二。サッカー翻訳者。京都在住。イングランドプレミアリーグ、ドイツブンデスリーガ、イタリアセリエAなどの欧州主要リーグのプレビュー/ハイライト番組他、チャンピオンズリーグやワールドカップ、EUROの関連番組、現男子日本代表やなでしこジャパンの選手をフィーチャーしたサッカー系ドキュメンタリー番組なども手がける。その他にも、サッカーゲームやプレミアリーグサッカーチームのウェブサイトなど、メディアを問わず様々なサッカー関連の翻訳や執筆にこれまで従事。最新の仕事はリオネル・メッシのドキュメンタリー映画「MESSI」の字幕翻訳。
Twitter: https://twitter.com/transcreative @transcreative
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