Global Athlete PROJECT

【サッカー英語コラム】[日本代表の活躍を英語で読んでみよう(2)]

前回に引き続き、日本代表がグループリーグ3連勝して予選首位通過を決めたことを報じる記事を取り上げます。

http://www.espnfc.com/afc-asian-cup/story/2254312/japan-defeat-jordan-to-top-asian-cup-group-diraq-beat-palestine-to-reach-qf(参考記事)

The Japanese constantly stretched the Jordan defence, and inevitably broke through in the 24th minute when Honda coolly slotted home a rebound at the near post after a powerful shot by Shinji Okazaki was parried by Amer Shafi.

ヨルダンの守備網を何度も切り崩していた日本が24分、やはり先制する。岡崎の放った強烈なシュートをShafiが弾いたところを、本田がニアポストへ冷静に押し込んだ。

解説:上記の日本語はニュース記事っぽくするためにかなり「意訳」しています。
細かく説明しますね。

stretch がここでは少し厄介な単語です。
サッカーの文脈で defencestretch というと、「守備を間延びさせる」という意味かなと私も最初は思ったのですが、stretch には「限界まで伸ばす」、つまり「(相手を)能力ギリギリまで動かす、働かす」という意味もあるんです。

この試合、ヨルダンは引いてのカウンター狙いだったので決して「間延び」はしていませんでした。
ここは「日本がヨルダン守備陣を翻弄していた、振り回していた」ぐらいのニュアンスだと思います。
ちょっとでも「あれ?」と思ったら、知っている単語でも辞書を引くのが、基本中の基本です。

inevitably は「避けられない、必然的に」というニュアンスの副詞です。
攻めこんでいた日本が「試合の流れそのままに」先制したというニュアンスをこの単語で出しています。
私は「やはり」と訳しました。

break through は「ブレイクスルー」というカタカナ語になっているので、だいたい分かるでしょう。
「突破する」という意味で、サッカーでは「均衡を破る」、「こじ開ける」なんて訳され方もしますね。

slot home はサッカー独特の表現です(もしかしたら他の球技でも使うかもしれませんが)。
意味は単純に「決める」と理解すればいいでしょう。ニュアンスとしては「気持よくネットを揺らした」。

rebound を「リバウンド」と言ってしまうと、日本ではバスケっぽくなりますね。
「こぼれ球」とすれば、とたんにサッカーっぽくなります。

parry は見慣れない単語かと思いますが、「受け流す、そらす」という意味です。
サッカーの文脈では、「はじく、パンチングする」などがハマるでしょう。

限られたスペースで解説できるのは文章全体のほんの一部です。
ぜひリンク先で記事の全文を読んでみてください。
特にどちらかのチームに肩入れすることなく、試合の流れを客観的に綴っています。
それでは。

[プロフィール]
清水憲二。サッカー翻訳者。京都在住。イングランドプレミアリーグ、ドイツブンデスリーガ、イタリアセリエAなどの欧州主要リーグのプレビュー/ハイライト番組他、チャンピオンズリーグやワールドカップ、EUROの関連番組、現男子日本代表やなでしこジャパンの選手をフィーチャーしたサッカー系ドキュメンタリー番組なども手がける。その他にも、サッカーゲームやプレミアリーグサッカーチームのウェブサイトなど、メディアを問わず様々なサッカー関連の翻訳や執筆にこれまで従事。最新の仕事はリオネル・メッシのドキュメンタリー映画「MESSI」の字幕翻訳。

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