【サッカー英語コラム】[ツイッターなどで見られるサッカー系「ネタ」を理解できるようになろう ~チェルシーのバス編~]
SNS全盛の現在、サッカーの試合で何か面白い「事件」や「展開」が起これば、数分後には皮肉の効いたコメントともに画像や動画が拡散するようになりました。こうした「ネタ」を英語で理解できて笑えるようになると、語学習得はとても楽しくなります。
今回取り上げるのは、
park the bus
という表現です。そのままの意味としてはもちろん「バスを停める、駐車する」です。
しかしサッカーの文脈になると、特に現チェルシーのモウリーニョ監督周りの話になると、意味が変わります。
ニュアンスとしては、「自陣ゴール前に大型バスを停める」→「ゴール前に人数揃えて、ガチガチの守備的布陣で守り切る」という感じです。
もちろん力で劣るチームが格上相手に「バスを停める」のはサッカーではよくあることです。
モウリーニョ監督が特にこの「からかい」の対象になるのは、超一流の選手を揃えながら、結果のためには枠内シュート1本で1点取って、バスを停めて逃げ切る、という勝ち方をよく狙うし、実際多くの結果を出しているからだと思います。
We didn’t park the bus, we parked the airplane.
“バスを停めていたんじゃない、飛行機を停めていたんだ。”
これは実はモウリーニョの2010年の言葉です。インテル時代、バルセロナ相手に守備的戦術で勝った後に放ったコメント。記者から「バスを停めていましたね?」と聞かれて、皮肉をこめてこう返答しました。バスより飛行機の方が普通は大きいですから、ここは「いつも以上に守備的だったさ」というニュアンスです。
The Chelsea bus on its way to the pitch after Mourinho’s side go 1-0 up.
“モウリーニョのチームが1-0とリード、チェルシーのバスがピッチへ向かっている”
参考ツイート
https://twitter.com/FootyHumour/status/567784814087249920
↑ は先日2月17日のCL、PSG対チェルシー戦中のあるツイート。
チェルシーが36分に初シュートを得点につなげてリードを奪った数分後には、タイムラインに流れてきました。思わず笑ってしまいますね。ちなみに、試合はPSGが追いついて引き分けに終わりました。これを受けて、
Chelsea park the bus too early.
“チェルシーは早くバスを停めすぎた” → “早い時間から守備的にいきすぎた。”
というironicな見出しをつけた記事もありました。
[プロフィール]
清水憲二。サッカー翻訳者。京都在住。イングランドプレミアリーグ、ドイツブンデスリーガ、イタリアセリエAなどの欧州主要リーグのプレビュー/ハイライト番組他、チャンピオンズリーグやワールドカップ、EUROの関連番組、現男子日本代表やなでしこジャパンの選手をフィーチャーしたサッカー系ドキュメンタリー番組なども手がける。その他にも、サッカーゲームやプレミアリーグサッカーチームのウェブサイトなど、メディアを問わず様々なサッカー関連の翻訳や執筆にこれまで従事。最新の仕事はリオネル・メッシのドキュメンタリー映画「MESSI」の字幕翻訳。
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